バレエ衣装:ちょっと体形カバー
最近の女性はとてもスタイルの良い方が増えていますが、
それでもやはり衣装着用時により美しく見せるための工夫は欲しいですね。
衣装を作るときにつくづく感じるのは、
一人ひとり体形が違うことです。
(まったく当たり前のことを書いてすみません。)
小さな違いは気になるほどのものではありませんが、
今回は、今までの数多い衣装作りの経験から気づいた点を
ひとつ取り上げてみました。
脚長にみせたい。

あくまでも経験上の感想ですが、
細身で首が長く優雅な上体をお持ちで美しい華奢体形、
でも、胴部が長め・・・という方が時々いらっしゃいます。
このような方用に衣装、特にクラシックチュチュを作るときは
以下のような工夫をしてまいりました。
まず、普通体形もしくは胴部が短めタイプのイメージ図と、
前述のタイプのイメージを並べてみます。


上のように例えば同じ程度の身長とウエストであっても、
ラインa~c、b~cまでのサイズがかなり違う場合です。
(時々このような方がおられます)


このように異なる体形の方が普通体形用の同じ衣装を着用した場合
Bの方は当然、胴部の丈が短くなります。
下のイメージ図は実際に(私の工房で)衣裳をお貸しするときにあったことです。


この時は、衣装の胸元に存在感があまり強くないパワーネットを
足して飾りを足し、肩ゴムを少し(長く)付け直し、
ウエスト部も縫い代ぎりぎりまで出して対応しました。
★クロッチ部を少し足すこともありますが、
お尻が丸見えにならないようによく注意が必要です。
さて、このように貸衣装では必ずしもぴったりサイズというわけにもいかず、
さりとて作るわけにもいかない、というジレンマが時に発生しますね。
多かれ少なかれ妥協が必要になります。
さて、次にオーダーメイドで作成する場合です。
まず、前述の2つのタイプの体形の方それぞれに、
サイズ通りに作った場合のイメージは以下のようになります。


B体形の方は、ウエストの位置、チュール付け開始位置も
少し下になり、股上が長いためボンのチュール段数も一段程増えたり、
お尻部をカバーするため多少下がりボン気味になったりしますので、
引いてみたときのボン全体の厚さも少々厚くなります。
これはこれでいいのかもしれませんが、
Bの方は全体のシルエットのバランスが良くない感じです。
できれば少し工夫をしたいですね。
こんなケースの時には(私は)ウエスト位置、チュール付け位置を
適度に上に設定して作ります。
下の図をご参照下さい。

左の図は2㎝~3㎝ほどですが、上げてみたイメージです。
ボン部が少し上に上がることによって、 全体のバランスが若干改善しますし、
何よりも、「ボディス部が長い」という印象が
減じられます。
ツンはウエストから測った股上サイズに
上にあげた分を加えて作ります。
では、見た目的にどんなふうに違うか比べてみます。
まず一枚目はサイズ通り作った時のAとBの比較です。

次に、Aと修正(した)Bの比較です。
ボン部の厚さは致し方ないのですが、
ウエストとチュール付け開始位置が上がったので
全体シルエットのバランスが改善したと思います!!!

ほんのちょっとした工夫ではありますが、
せっかくの舞台、それぞれの方が持つ”悩み部”を少なくして、
できるだけ綺麗に見えるように着せてあげたい。
ちなみに胴部が短く脚が長い、いわゆる外人体形の方の場合は、
胴部やウエスト部をしっかりメリハリを付け、
時にはバスクをほんのちょっと長くすることもあります。
年齢にもよりますが、ボン部があまりに上方になると、
バランス的に子供っぽい印象になってしまう事があります。
衣装を作り始めてから早20年過ぎましたが、
まだまだ、いつも何か工夫できるところはないものか、
考えながら作るのが続いています。
お読みいただきありがとうございます。^^
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